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歩行者天国に最適な屋外ラウンジスペースの作り方

歩行者天国に最適な屋外ラウンジスペースの作り方

歩行者天国に最適な屋外ラウンジスペースの作り方

― 滞在時間が延びるファニチャー配置術と現場からのリアルな学び ―


■「座る場所があるだけで、人が立ち止まる」──それがにぎわいの第一歩

2023年の春、私は東京都内某所で行われた歩行者天国の社会実験に関わりました。
普段は車が行き交う大通りを毎週末だけ封鎖し、公共空間として開放するというプロジェクト。

歩道は整備され、ベンチやテーブルも用意されていましたが、初回開催では思ったように人が“腰を落ち着ける”空間になっていませんでした。
人は歩いてはいるけれど、座らない。立ち止まって話もしない。写真を撮ってすぐに通り過ぎてしまう。

この時、主催者側からの依頼で私が担当したのが「人が自然と長く滞在したくなる屋外ラウンジスペースの設計と家具の配置」でした。

この記事では、実際にその現場でどのような改善を施し、どう人の行動が変化したのかをリアルにお伝えします。


■1. 歩行者天国における「ラウンジスペース」の役割とは?

都市部の歩行者天国は、イベントや買い物以外に“立ち止まる理由”がなければ、ただの通過地点になります。
そこでラウンジスペースが果たすのは、以下の3つの役割です。

✅ 滞在を生み出す3つの機能:

機能 内容
① 目的のない滞在 買い物やイベントではなく、“座ること”が目的になる空間づくり
② コミュニケーションの触媒 家族・友人・他人同士が緩やかにつながる場を提供
③ 都市の余白としての魅力 歩いて疲れた時の「一息つける場所」が街の印象を左右する

■2. 実際の社会実験で見えた「失敗」と「改善のヒント」

📍 概要:

  • 開催場所:東京都心、主要商店街エリア(約200mの車道を開放)

  • 期間:毎週土・日曜日(11:00〜17:00)

  • 想定来場者数:約3,000〜5,000人/日


❌ 初期設計での失敗例:

項目 問題点
椅子・ベンチ 折りたたみ式チェアのみ設置 → 安定感がなく座りづらい
テーブル 小型で高さが合わず、使いにくい(食事や作業に不向き)
配置 通路のど真ん中に直線的に配置 → 通行の邪魔になり、落ち着かない
雰囲気 寒々しい印象(植栽・装飾ゼロ)、居心地が悪い

■3. 滞在時間を延ばすために行った“5つの家具配置術”

以下は、実際に私が現場で改善を加えたポイントです。

✅ ① 「囲まれる」感覚をつくる配置

人は背中が守られていると安心して座れます。
そのため、通路に対して並列ではなく、L字や円形配置に変更。

  • ソファやベンチを植栽やパーテーションと組み合わせて“半個室感”を演出

  • ソロでも使える向きと、2〜4人で囲める向きを混在させる

👉 結果、単独利用者の利用率が大幅にアップ。特に女性利用者に好評でした。


✅ ② 高さの違う家具を組み合わせる

  • ローテーブル × ローソファ → 子ども連れ・ゆったり滞在向け

  • ハイテーブル × ハイスツール → 立ち飲み感覚、短時間利用向け

  • スタッキングチェア × 中型テーブル → ワークショップ・軽食利用向け

これにより、「滞在時間」だけでなく「利用目的」も多様化しました。


✅ ③ 日除け・風除け・視線の遮りを意識する

  • パラソルを家具の中心ではなく“背後側”に設置し、日陰エリアを拡張

  • 低木のプランターをベンチの背後に配置 → “背中を守る”効果

  • ベンチの向きを通行動線から少しズラし、“注目されない空間”をつくる

特に高齢者やシニア層が“落ち着く”と感じてくれるポイントです。


✅ ④ 通行人から「楽しそう」に見える演出

人は、“誰かが楽しそうに座っている様子”を見ると、座ってみたくなります。

  • 色の統一感あるクッション/ナチュラルなウッド調の家具を使用

  • テーブルに「自由に使える本」「お絵描きセット」「花瓶」などを配置

  • 近隣のカフェと連携して、ソファ席にカフェ用メニューQRコードを掲示

👉 インスタ投稿数が3日で5倍に。特に20代〜30代女性の利用が急増しました。


✅ ⑤ 時間帯ごとに使い方が変わる“可変型レイアウト”

  • 朝:ヨガや読書向け → ローテーブル&ソファ中心に

  • 昼:ランチ・カフェ → テーブル席を追加配置

  • 夕:カップル・親子向け → LED照明で雰囲気演出&座面クッション追加

家具を一部「キャスター付き」にしたことで、現場スタッフでも簡単にレイアウト変更が可能に。


■4. 導入した家具のスペックと実際の評価

家具種別 素材・仕様 評価ポイント
ガーデンソファ(2人用)×4 アルミ+人工ラタン/撥水クッション 見た目の高級感/座り心地が滞在に直結
ローテーブル ×4 合成木材/軽量 読書・ドリンク置きにちょうどいいサイズ感
スタッキングチェア ×20 アルミフレーム/背もたれ付 イベント時の急な増席に便利
ハイテーブル&ハイスツールセット ×2 屋外用防錆スチール 若者グループに人気/立ち寄り感覚で使いやすい
パラソル・プランター ×複数 可動式・耐風型 日除け+空間演出の両立が可能

■5. 実際の利用者の声と、滞在時間の変化

📊 観測データ(3週目以降):

指標 初期 改善後
平均滞在時間(1人あたり) 約7分 約21分(3倍)
屋外席利用者数(1日) 約85人 約260人
SNS投稿数(#○○歩行者天国) 月12件 月80件以上
「また来たい」と答えた人の割合(アンケート) 43% 91%

💬 利用者の声:

「ちょっと休憩のつもりが、気づいたらおしゃべり1時間」
「座る場所がオシャレで、写真も映える。投稿したくなる」
「子どもが勝手に座って遊び始めてくれたので助かった」


✅ まとめ|歩行者天国に必要なのは、“通過させない仕掛け”を持つ家具配置

✔ ラウンジスペースの価値は、座って何が起きるかで決まる
✔ 滞在時間を延ばすには、“安心・快適・自由”の3要素が必須
✔ 家具は「置くだけ」ではなく、「どう置くか」がまちの魅力を左右する

📢 歩行者天国・社会実験・地域イベントで屋外空間演出をご検討中の主催者・自治体・設計者の皆さまへ
👉 [歩行者天国向けガーデンファニチャー導入事例・レイアウト集はこちら(CTA)]

滞在したくなる空間が、人と街の関係を豊かにする。
その第一歩は、座りたくなる一脚のソファから始まります。🪑🏙✨

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