
テラスを“客室の延長”に変える演出術──実例つきで徹底解説
テラスを“客室の延長”に変える演出術──実例つきで徹底解説
「せっかくテラスがあるのに、ただの“外スペース”としてしか使われていない──」 そんなお悩みを抱えているホテル・旅館関係者の方は多いのではないでしょうか。
宿泊者にとって“非日常の滞在価値”が求められる今、テラスは“ただの空間”ではなく、 客室の延長として「選ばれる理由」に変えられるポテンシャルを秘めています。
この記事では、宿泊体験をワンランク上げるための「テラス演出術」を、 実例を交えながら、わかりやすくご紹介します。
■ 1. なぜ「テラス=未活用ゾーン」になりがちなのか?
まずは、よくある“もったいないテラス”の例を見てみましょう。
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雨風にさらされて老朽化したテーブルセットが置きっぱなし
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イスだけあってテーブルがなく、使い道が限定される
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宿泊客から見える位置にゴミ箱や掃除用具が置かれている
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夜は真っ暗で何も見えず、存在すら忘れられている
これらに共通しているのは、**「空間に目的がない」**こと。
目的のない場所は、使われません。 逆に言えば、“目的を与えれば”価値あるスペースに変えられるのです。
■ 2. 「外=内」として設計するマインドがすべて
“外にあるから”という理由で、家具や照明、清掃意識を内装と切り離していませんか?
実は、テラスを成功させている施設の多くは、 「外=内」という感覚で空間設計を行っています。
これはつまり、「テラスを室内と同じクオリティで扱う」ということ。
たとえば──
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室内と同系色の家具を配置して統一感を持たせる
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照明器具もインテリアと合わせたデザインを採用
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清掃頻度やメンテナンス基準も室内と同じに設定
こうした“意識の延長”が、テラスの存在価値を変える第一歩となります。
■ 3. 実例1|客室単価+8,000円を実現した“朝食テラス”
ある温泉旅館では、元々物置として使われていたテラスをリニューアルし、 専用朝食スペースとして活用。
木製のガーデンテーブルセットを配置し、 ・朝の時間帯だけ客室から直結の空間に変更 ・雨天時は透明のシートカーテンで風雨を防止 ・地元の陶器を使った器とランチョンマットで演出
結果、同じ料理でも“朝食付きプラン”に価値が付き、 客室単価が8,000円アップしたという事例があります。
💡豆知識: 屋外用の家具でも、“生活感を感じさせないデザイン”を意識するだけで、 「屋内同様の快適さ」が演出できます。
■ 4. 実例2|カップル需要をつかんだ“夜のライトアップ空間”
都内のデザイナーズホテルでは、 部屋の外に出たテラスに間接照明+ラタンソファを導入。
・カップル層向けに“夜の語らい空間”として提案 ・小型ワインセラーとグラスを備え、バルタイムを演出 ・季節の植栽とLEDランタンで温もりを感じる照明設計
宿泊者アンケートでは「テラスが決め手になった」という回答が全体の43%を占め、 “写真映え”と“記憶に残る空間”の両方を実現しました。
🌙豆知識: 夜間は照度の強さよりも“光の配置”が重要。 家具の足元や壁際に光を仕込むと、非日常感が一気に高まります。
■ 5. スペース別・家具のおすすめ配置パターン
テラス面積 | おすすめ家具構成 | ポイント |
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1~2畳 | 折りたたみチェア+丸テーブル | 使わないときの収納も考慮 |
3~4畳 | ソファセット+サイドテーブル | 対話・リラックス重視 |
5畳以上 | ダイニングセット+ラグ+植栽 | 食事・歓談・写真映えまで対応可能 |
📐豆知識: スペースが狭くても“家具の高さを揃える”と圧迫感が減り、 広く感じる視覚効果が得られます。
■ 6. 家具を置くだけでなく「何をしてほしいか」を決める
ただ置くだけでは、“置いてある空間”にとどまります。
テラスでの過ごし方を、具体的に想定→表現→案内してあげると、 利用率と滞在満足度が飛躍的に上がります。
たとえば──
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「ここで朝日を見ながらコーヒーを」
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「夜のライトアップを眺めながら読書」
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「部屋からつながる“もう一つのプライベート空間”」
🪑豆知識: メニュー表や館内案内に「テラスの使い方」を添えるだけで、 利用者が“選択肢として認識”できるようになります。
■ まとめないけど、最後にひとこと
テラスは、何かを“足す”だけの空間ではありません。
今ある空間の“意味”を変えるだけで、 お客様の記憶に残る「価値のある空間」へと変わります。
内と外の境界を、もう一歩だけ超えてみませんか?
その一歩が、宿泊体験を“忘れられない時間”に変えてくれるはずです。
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