
リゾートホテルの家具選び
リゾートホテルの家具選び
〜“滞在体験”を形にするインテリアとエクステリアの視点〜
◆ はじめに
リゾートホテルに訪れるゲストが期待するのは、単なる宿泊ではありません。
「非日常感」「癒し」「写真に残したくなる空間」──。
その体験価値をつくる要素のひとつが、家具選びです。
ロビーや客室だけでなく、テラス・プールサイド・ラウンジに置かれる家具は、ホテル全体の印象を決定づけます。
今回は、リゾートホテルにおける家具選びのポイントを、デザイン・機能・運用の観点から解説します。
◆ 1. ブランド体験を支える“デザイン統一”
リゾートホテルはそれぞれのコンセプトを持ちます。
南国風リゾート、和モダン、地中海風など──。
家具は、そのコンセプトをゲストに直感的に伝える役割を担います。
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南国リゾート系 → ラタン調ソファやサンラウンジャー
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和モダン系 → 木材を基調にしたローチェアや格子デザイン
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モダンラグジュアリー系 → アルミ×ファブリックの直線的なデザイン
建築や内装と家具が調和することで、ゲストは空間に違和感なく没入でき、ホテルブランドの体験価値が高まります。
◆ 2. 屋外家具に求められる“耐久性”
リゾートホテルでは、プールサイドやテラスに家具を配置するのが一般的です。
しかし屋外環境は紫外線・雨・塩害といった厳しい条件が揃っています。
そのため、素材選びは慎重に行う必要があります。
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PEラタン(人工ラタン):見た目の高級感と耐久性を両立
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アルミフレーム:サビに強く軽量で持ち運びやすい
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撥水加工ファブリック:水分が染み込みにくく、乾きも早い
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チーク材:経年変化が味になる天然木(ただしメンテナンス必須)
「見た目の美しさ」と「維持管理のしやすさ」を両立させる素材こそ、長期的な運用で選ばれるポイントです。
◆ 3. 清掃性とメンテナンスの視点
ホテルの運営では、家具の清掃・メンテがしやすいかが大きな課題です。
ゲストが使う頻度が高いため、日常的な汚れ・水滴・日焼けに対応できる設計が求められます。
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クッションカバーは取り外し洗濯可能か
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水洗い・アルコール拭きに対応しているか
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凹凸が少なく汚れが溜まりにくいデザインか
清掃がしやすい家具はスタッフの負担を減らし、結果的に施設全体の清潔感を保つことに直結します。
◆ 4. 快適性と安全性の両立
ゲストは家具に“リゾート時間”を託します。
そのため、座り心地の快適性と安全性は欠かせません。
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リクライニング機能 → 外気浴や日光浴を快適に
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クッション性 → 長時間座っても疲れない
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丸みのある設計 → 子どもや高齢者も安心
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安定感ある重量バランス → 強風や不意の揺れでも転倒しにくい
「気持ちよく過ごせるかどうか」が、口コミや再来訪につながるのです。
◆ 5. ゲストが“語りたくなる家具体験”を演出する
いまの旅行者は、SNSで体験をシェアする傾向が強くあります。
つまり家具は、フォトジェニックな空間をつくる装置でもあるのです。
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プールサイドに並ぶラウンジャーの美しいシルエット
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テラスに配置されたソファでの朝食シーン
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照明と調和したナイトラウンジの家具レイアウト
ゲストが「写真を撮りたくなる」「誰かに伝えたくなる」家具は、自然とホテルの宣伝効果を生み出します。
◆ 6. 運用コストを意識した選定
家具選びでは導入費用だけでなく、運用コストを考慮することも重要です。
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定期交換が必要な低価格家具か
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長期的に使えるハイエンド家具か
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修理・部品交換のしやすさはどうか
ランニングコストを抑えつつ、ブランド価値を損なわない選択が求められます。
◆ 7. 事例から学ぶリゾートホテルの家具活用
成功事例
・南国リゾートホテル → プールサイドに人工ラタン製のサンラウンジャーを配置。ゲスト滞在時間が延び、レストラン利用率も上昇。
・和モダン旅館 → デッキに木製ローチェアを配置。自然との一体感を評価され、国内外のゲストから高評価。
失敗事例
・安価なプラスチック製チェアを導入 → 2年で色あせ・割れ。見た目の安っぽさからクチコミ評価が低下。
・布張りソファを屋外に常設 → 雨季にカビが発生し、清掃コストが増大。
◆ まとめ
リゾートホテルの家具選びは、
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デザインとコンセプトの統一
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屋外環境に耐える素材選び
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清掃・メンテのしやすさ
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快適性と安全性の両立
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SNS映えする体験価値
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長期運用コストの視点
これらを満たすことで、家具は単なる設備ではなく、ゲスト体験を最大化する投資となります。
リゾートホテルにとって、家具は「滞在を語りたくなるストーリー」を生み出す大切なパートナー。
設計・運営の段階から家具を戦略的に選び、ホテルの価値を一段と高めていきましょう。
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